アームのない異端児。Fender Japan ST72-HT(Sシリアル)ハードテイルの魅力を解剖

このギターも、僕のよく行くライブハウスのマスターの持ち物で、かなりレアな代物なのでご紹介します。Fender Japan ST72-HT(Sシリアル)ハードテイルという機材で、2006年〜2008年頃にダイナ楽器で作られたものらしいです。70年代のラージヘッドがカッコいいギターです。

ダイナ楽器ってどんな会社?

ところでダイナ楽器はあまり聞き覚えがないので、調べてみました。長野県にある、ギター製造工場です。 1997年頃から「フェンダー・ジャパン」の製造をメインで引き受けるようになりました(それ以前はフジゲンが有名でした)。

そもそも、僕はダイナ楽器という会社を、このフェンダージャパン以外の製品で聞いたことがありません。なので、弱小なのかな?でもフェンダーが弱小楽器屋に製造をまかすか?と、疑問がいろいろ湧いてきます・・・・答えはこうでした。

1. 「ブランド」ではなく「工場」だから

ダイナ楽器は、自社ブランド(例えば「Dyna」という名前のギター)を大々的に売り出すよりも、有名メーカーから依頼を受けて、そのメーカーの設計通りに完璧に作り上げることをビジネスの柱にしています。

  • 受託製造のプロ: フェンダーの他にも、Gretsch(グレッチ)の特定のモデルや、Ibanez、Epiphone、国内では石橋楽器のMavis島村楽器のHistoryの一部なども手掛けてきました。
  • 守秘義務: 多くのメーカーとの契約上、「私たちが作りました!」と宣伝することはあまりありません。あくまで「フェンダー」というブランドの品質を支える裏方、つまり「黒子」としての役割に徹しているのです。

2. フジゲン(FGN)との戦略の違い

比較対象としてよく出る「フジゲン」は、自社ブランド(FGN)を立ち上げて表舞台に出てきました。

  • フジゲン: 自社ブランドを育てて、名前を世界に売りたい。
  • ダイナ楽器: 徹底的に裏方に徹し、多くのメーカーから信頼される「最高の製造ライン」であり続けたい。

この戦略の違いによって、一般の人には「名前が聞こえてこない」状態になっています。しかし、ギターをバラしてポケットの中を見たり、シリアルナンバーを研究したりするマニアの間では、「ダイナ製なら間違いない(Dyna-made is solid)」と、絶大な信頼を置かれています。

2015年にフェンダージャパンというブランドは終了し、現在は本家フェンダー直轄の「Fender Made in Japan(MIJ)」シリーズになりました。 このMIJシリーズの製造を今でも主力として担っているのがダイナ楽器です。

まとめると、ダイナ楽器は、自社ブランドを誇示することなく、フェンダーやグレッチといった世界の名だたるブランドを支え続けてきた『影の主役』です。その徹底した裏方精神が生み出す精密なギターこそ、このSシリアル期のストラトの正体だったようです。

Fender Japan ST72-HT(Sシリアル)ハードテイル

僕らが楽器を始めたときに、最初に見たギターがこのラージヘッドでした。ブレッド・トラスロッドというらしいですが、ヘッドから弾丸(ブレッド)のようなナットが突き出している姿は昔の憧れを思い出させ、すこしノスタルジックにすらなります。

そして、ペグはGotoを使っています。このペグと、硬いメイプルネック、そしてハードテイルのおかげで、チューニングはとても安定します。

これが、ハードテイルといわれる所以ですね、テレキャスターのようなボディを貫通させる弦の取り回しです。ここがこのストラトの最大の特徴で、通常のストラトはボディの中身がトレモロユニット用に大きく削られていますが、ハードテイルは木材がぎっしり詰まっています。

そのため、低音の鳴りが強く、ストラトとは思えないような「バキッ」とした力強いアタック音が出ます。やはりちょっとテレキャスターっぽいです。このST72-HTは「弦の振動をいかにボディに直接伝えるか」に特化した、ある種テレキャスターに近いストラトと言えます。チューニングの狂いを気にせず、力強いカッティングをしたいギタリストにとっての究極の選択かもしれません。

テレキャスターと比較すると、ストラトはピックアップがピックガードにマウントされていて、さらにブリッジがスプリングで引っ張られている構造になっているので、なんとなくチューブ(管)っぽい音がして、僕はそれが好きなのですが、このギターはテレキャスとのあいのこみたい。でも、それが結構いい!

フェンダー・ジャパン・ストラトキャスターをヤフオクで見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました