S.Yairi(エス・ヤイリ)YD-304

僕のいつも行くライブハウスのマスターが買った、S.Yairi「YD-304」 のお話をします。

マスターは、いつも金がないとか言ってるんですが、突然良いものを買い込んだりします。これも、ある日突然壁にぶら下がっていたギターなんですが、安物買いでは右に出るものはいない僕としては、「お、ヤイリじゃん!」と思い、ちょっと彼を見直したりしました。

このS.Yairiは、僕が中学生の時に買った、国産ギターメーカーの評価の本で、まったくもって最高級の位置づけで称賛されていて、よく覚えています。その本の中ではMartinと同じくらいの格付けだったので、マジ、印象深く覚えています。

S.yairiは当時全くの高嶺の花だったので、どんなモデルがあったのかはよく覚えていないのですが、このYDー304というモデルは当時井上陽水さんが使っており、ギターキッズの憧れのギターだったようです。当時はたぶん80.000円くらいの楽器だったと思うのですが、これは当時の初任給の一か月分くらいと考えると、今なら200.000円くらいの高級品だったわけですね。

音はというと、とても煌びやかで、倍音が美しいギターです。僕の持っているアホみたいにパワフルなギターたちとはキャラが違って、上品な感じがします。音量もあって、整った音。間違いなくよくできたドレッドノート。演奏性もとても良くて、MartinだったらD-28みたいな感じのギターです。

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しかし!この個体、マスターの雑な性格のおかげで、落ちぶれた王者のようなブルース感を漂わせてます。色違いのピンが無造作にささったブリッジとか、傷だらけで見向きもされないようなボディ。そして仕上げはなんだかわからないリボンみたいなもので止められたストラップ、いつ張ったのかわからない弦。でも…

弾くと実力を主張してくる、満身創痍の落ち武者のような、なかなか凄いやつです。

まあ、マスターらしいといえばそれまでなんですけど、たまにはもうちょっと、かまってあげたほうが良いよね、とは思います・・・自分の家でギターにエリクサーを2年くらい張りっぱなしの僕が言えた義理ではないんですけどね(笑)

ちなみにこのギター、現在では希少で高価な木材が惜しみなく使われています。サイド&バックは ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)、そしてトップはスプルース単板、という当時の高級ギターの面目躍如といったところです。今はもう作れないギターと言えますね。

このギターは、Hard-offで5万円くらいだったかな?と言っています。サイドやバックは白濁している(Yairiあるあるらしいです)し、まあ、相場はそんなものかとは思いますが、材はすごいし、乾燥しきっているし、見た目を気にしないなら音も良いですし、材の価値は高いし、いいんではないでしょうか・・・とはいえ、材を気にする人は、見た目も気にするでしょうね。

ところで、ご存じの方も多いと思いますが、S-yairiのほかにも、K-yairiというギターもあります。それについてちょっと調べてみました。

「S.Yairi」と「K.Yairi」、名前が非常に似ているので混同されやすいのですが、実は「創業者が親族(兄弟)というだけで、会社としては創業時から現在まで完全に別のブランド」です。

それぞれの立ち位置や歴史、現代における違いを分かりやすく整理しました。


1. S.Yairi(エス・ヤイリ)

「伝説のジャパン・ヴィンテージ、そして現在はコスパ重視」

  • 創業者: 矢入貞夫(さだお)氏
  • 歴史: 1938年創業。1970年代に井上陽水さんなどの大物アーティストが愛用し、一世を風靡しましたが、1982年に倒産しました。
  • 特徴(ヴィンテージ): 先ほど話題に上がった「YD-304」のように、1970年代のモデルは非常にクオリティが高く、現在も中古市場で高値で取引されています。
  • 現在: 2000年に貞夫氏の息子である寛(ひろし)氏によってブランドが復活。現在は「キョーリツコーポレーション」がブランドを保有し、主に中国で生産される初心者向けのリーズナブルなラインナップが中心です。

2. K.Yairi(ケー・ヤイリ)

「職人による純国産ハンドメイド、一生モノの代名詞」

  • 創業者: 矢入一男(かずお)氏(貞夫氏の甥にあたります)
  • 歴史: 1935年創業。岐阜県可児市の自社工場で、少数精鋭の職人による手作りを現在まで一貫して続けています。
  • 特徴:
    • 永久保証: 「生涯、愛用してほしい」という想いから、自社製品に対し永久保証(有料修理を含むサポート)を掲げています。
    • プレイヤビリティ: 日本人の手に馴染むネックシェイプや、一回り小さいボディサイズなど、独自の進化を遂げています。
    • 木材のこだわり: 「木を眠らせる」という独自のシーズニング工程を経て、安定した品質の木材のみを使用します。
  • 海外での評価: 「Alvarez Yairi」というブランド名で海外でも非常に高く評価されています。
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…というわけで、ここでも栄華衰退はここでも、起きていました。50年という年月は申し分なく長い、ということですね。

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