日本の古いアコースティックギター・・マジすげえ

Illustration of a craftsman's hands holding a guitar

ジャパンヴィンテージ」という言葉の意味合い

いつのまにかジャパンヴィンテージという言葉が一般的になって、昔のギターが高値で取引されるようになってました。それらの楽器が新品として市場に出てきていた時代に生きてきた僕にとっては、喜ばしいような気もする一方、なんでもかんでもざっくりまとめて、ジャパンヴィンテージ、と呼ぶのはどうなのかな、と思います。

そもそも、ジャパンヴィンテージの何がいいのか?ということを突き詰めていくと、「当時使っていた材は、世界環境的に現在よりもずっと余裕があったので、今よりずっと良い材を使っていた」「当時の日本は、ギターブームに乗っかり、技術の高い家具屋の木工職人がこぞってギターを作った」「真面目な日本人の職人は、次第に楽器としての本質的な部分を理解し、それを具現化していった」そしてなにより、「半世紀の歳月が、材を変質させて、素晴らしい楽器に仕上げた」ということなのだと僕は考えています。

というわけで、僕はジャパンヴィンテージ、という言葉が本当に適合するのは、アコースティックギターだと思っています。

エレキよりもアコギに「経年進化」が宿る理由

エレクトリックギターに関しても、材の乾燥など、経年はもちろん音に影響します。ですが、エレクトリックギターは、たとえば乾燥状態よりも、材に何を使っているか、その硬さや密度、重さはどうなのか、電気的なアッセンブリーの状態、品質はどうなのか、金属パーツに何を選んでいるか、ブリッジ、ナットなどの状態がどうなのか、などが、より大きな影響を及ぼすと僕は考えています。

つまりエレクトリックギターのクオリティは、その基本的な構造が大きな部分を占めていて、経年のおかげの乾燥具合などは、アコースティックギターほど、その影響は大きくないと感じています。

確かに、ジャパンヴィンテージといわれる時代のエレクトリックギターの作りは、本家のFender,Gibsonよりも良かったな、とは70年代後半、僕も実感しました。なので本家は、カッコいいからすごく欲しいとは思ったものの、楽器としての価値には差を感じてなかったのは、僕も含め、当時のギター少年たちの共通する思いだったんではないでしょうか。

というわけで、ここからはアコースティックギターに話を絞って、ジャパンヴィンテージについて語りたいと思います。

70年代、家具職人が挑んだ「本気のギター作り」

一時期、日本では誰でもギターを持っている時期がありました。家庭に1~2台、家電と同じように家にあったんです!!(大げさかもしれません)日本でフォークソングが流行った70年代だったと思います。その時期、日本の精緻な技術を持った家具屋さんが、それに乗っかって一儲けした・・・というのが当時の時代背景でした。

ですが、実際のところ凄かったのは日本の職人気質でした。当時すごく高価なMartinのギターをバラシてその構造を研究したり、狂いのないように乾燥の方法を研究したり・・・いかにも日本人らしい姿勢で真面目にギター作りに挑んだわけです。その結果、今僕が愛している寺田楽器のMorrisや、Yamakiのギターなど、半世紀の時間を経て、大化けに化けた個体が続出しているわけです。それがジャパンヴィンテージの正体です。

ヤマキF-115のサウンドホール。写真ではわからないが、サウンドホールの淵はごく薄く削りこまれている

単板・合板の壁を越える「50年」という魔法

当時から、高級志向の会社やモデルもありました。S-yairiが欲しいとか、Morris-W-80が欲しいとか、なかなか手に入れにくい国産高級品もその時からあり、欲しかった人も多かったと思います。そしてそれらは現存していたら、そのほとんどが間違いなく最高級品質のオールドギターになっているでしょう。当時の最高の材、最高の技術を突っ込んだ、まぎれもない高級品だからです。

ですが、僕のおすすめ、というか解釈はちょっと違います。高いものはよくて当たり前です。しかし!!!古い国産ギターには、化けて凄い楽器になっているものが沢山あるのですよ!!皆さん!

当時の高級品は、間違いなく材の乾燥に時間をかけたと思います。でも、せいぜい数年でしょう。それから長い年月が経って、もはや数年は誤差、というレベルになっています。そして、僕が実感しているのは、材の違いよりも、個体差のほうが違いが大きい、という事実です。

そして、昔から高級ギターには単板、廉価版には合板の木材が使われている、というものギターの世界の常識ですが、僕のたいしたことない耳には、その違いは殆どわかりません。今、僕の愛しているギターたちは全部安物で合板Topです。

8,000円のYamakiが証明した「安物でもスゲー」の真実

僕は音が大きく、レスポンスの良いギターが好きです。逆に音は大きくないけど、キレイな音のギター・・・というものは、僕は知りません、わかりません。だって、音が小さかったらそれだけ、ニュアンスの表現の幅が狭くなるということだと思っていますから。僕は、低音弦をゴリっと鳴らしたときに、全身を鳴らして応えてくれるようなギターを、よい楽器だと考えています。

70年代、当時高級で手が出なかったギターを買いたい!そういう気持ちはすごくまっとうで、心から理解できます。でも僕は残念ながらお金があまりないので、そういう高級品は買えないのです。ですが、プレイヤーとして、断言できます。安物でも、スゲーのがゴロゴロしてる・・・それがジャパンヴィンテージなんです。

たとえばこの前手に入れたYamakiのギター。ヤフオクで¥8000(送料込み)だったんですが、届いてみたらすっげえ鳴るギターでした。

「父が弾いていたギターです、わからないからお安く出します」というコメントだったんですが、届いてみたら最高の楽器でした。全身を震わせて音を鳴らしてくれる、そんな個体にまた出会えたんです。本当に、嬉しい!

日本のすっげえ古い安物ギター、マジで面白くないですか?

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