YamakiF-115 普及価格で最高を目指した狂気のギター会社ヤマキ

ヤマキ F-115を手に入れるまでのお話

実はこのブログを書くにあたって、僕はAIの力をずいぶん借りています。ギター会社の時代背景とか製品情報とか、調べたら何時間もかかることを、あっという間にまとめて教えてくれる、いやはや、すごい時代になったものです。

その際、いろいろAIと相談していくなかで、僕の楽器の好みが次第にはっきりしてきたのです。僕の好みはおおよそこういった事でした。

  • 音が大きいギターが良いと思っている。
  • ボディ全体が振動するようなギターが倍音が多い感じで好きだ。
  • 今まですごいと感じたギター4台の内、3台はマホガニーボディ
  • 天板が単板、合板は関係ない。半々だった。
  • 好きなギターはどれも、とても古い

そしてAIは僕が好むギターを提案してきました。音が前に出てくる爆音系ギターで、マホガニーボディが好き、そして、なんと驚いたことにドレッドノートタイプを勧めてきました。僕にとって今までドレッドノート系の大きさで良かったのは、オールドのGibson J-45だけだったんで、ちょっと驚きました

そして、お勧めジャパンビンテージギターをAIに聞いていたら、突然出てきたのがこのヤマキという会社のドレッドノートです。名前だけは聞いたことはあるものの、どういう特徴がある楽器なのか、どういう会社なのか、知識はほとんどありませんでした。

ヤマキF-115のヘッド。トラスロッドカバーがなく、トラスロッドはボディ内に出ている

ヤマキ(Yamaki)という会社

このヤマキという会社、どういう会社だったのでしょうか。

  • 職人集団: 1960年代後半、ダイオン(大音)楽器から独立した寺平兄弟によって設立された、長野県発の伝説的メーカーです。
  • 「鳴り」への執念: 効率や装飾よりも「いかに響かせるか」を追求し、手間を惜しまない職人気質な物作りで知られました。
  • OEMの雄: 自社ブランド以外にも、海外の「Washburn」など有名ブランドの製造を支えた高い技術力を持っていました。
  • 「Daion」として世界市場へ:1970年代後半になると、マーチンのコピーから脱却し、独自ブランド 「Daion」として世界市場へ打って出ました。真鍮(ブラス)のナットやサドルを採用したり、ヘッドに穴を開けたりと、非常に独創的でモダンなギターを作っていました。
  • 海外での高評価: カナダやアメリカに輸出されたこれらのギターは、今でも海外のヴィンテージ市場で「Daion」の名で熱狂的なコレクターに愛されています。
  • 手間をかけすぎて採算が合わなくなった:ヤマキは1980年代半ばに自社ブランドの製造を終えてしまいますが、その理由は「売れなかったから」ではなく、手間をかけすぎて採算が合わなくなったと言われています。
ヤマキF-115のサウンドホール。写真ではわからないが、サウンドホールの淵はごく薄く削りこまれている

大当たりだったYamaki F-115

そんなAIのおすすめにより、ヤフオクでヤマキのギターを探してみました。楽器屋さんなどではほとんど見かけないギターですが、ヤフオクには結構あります。そして例によって、縦ロゴのもともとの高級品はすごく高いのです。10万円を超えているものもあり、おそらく新品当時よりも高いのではないでしょうか。

ですが、普及価格帯のものは安いです。僕が探しているのはマホガニーボディのドレッドノート・タイプですから、むしろ普及品しかありません。

そして見つけてしまったんです!写真のYamaki F-115!これはオークションではなく、固定価格で8800円(送料込み)でした。例によって金欠の僕は、一晩冷却期間をおきました。だって、ギター沢山持ってますからね。

そして翌日、もう一度見ると、なんと、8000円(送料込み)に下がっているではありませんか!もうこれは神様のお告げだと思い、ポチッと・・・やりました。

このギターは販売者さん曰く、「父の使っていたギターです。私にはよくわからないので、安く売ります。」とありました。写真は3枚くらいしかなく、横から見た写真がないのでネックの状態もわかりませんし、弦は真っ黒。後ろからの写真もないのでサイド、バックがマホガニーかも判別がつきませんでした。ただ、天板は木目がきれいに見えて、あまり焼けていない印象でした。

そして数日後、届きました!プチプチだけの包装で!急いで開けてみると、埃まみれのギターが出てきました。きれいに掃除して、持っていたYAMAHAのコーティング弦に張り替えて・・・そして、このYAMAKI F-115は半世紀の時を経て、蘇ったのです!!ちなみにこのギター、筆記体のロゴと型番から、製造はおそらく1970年〜1972年頃だそうです。

チューニングの最中から、このギターは久々に音を出す喜びでボディが大きく振動させます。そして、コードを「ガッチャーン」と弾いた瞬間、僕も至福になりました。音の分離がすごく良く、ピッキングの強弱に見事に追従する鳴りの良さ。小さな音は繊細に奏で、強いピッキングには豪快な音で答えてくれます。ああ、ドレッドノートの意味は音がでかい、ではなくて、響きがいいんだ、とわかりました。

まさに、大当たりの個体でした。僕の持っているMorris F-18(最高のジャパン・ヴィンテージだと思っている一本)と比べると、F-18が音がひと塊で飛んでくる印象で音がぐいぐい前に出てきます。一方、このYAMAKI F115は弦の一本イッポンの音がきちんと聞こえ、豊かに響いている印象です。

ところで、トップのスプルースが単板か合板か確認しようと(この価格帯だから普通は合板だと思いつつも)サウンドホールをよく見たのですが、なんとサウンドホールの周囲の板がすごく薄く削りこまれているのです。これは機械でなかなかできなそうなので、YAMAKIという会社の執念ともいえるクラフトマンシップを感じました。

妻にギターを見せたところ(彼女はギター、ベース、ピアノをこなし、絶対音感も持っている・・・さらに言うなら、イカ天に出たこともある!)、「また買ったの?沢山あるのに」としばらくは興味を示さなかったのですが、自分で弾いてみて「響きがすごくいいね」とすぐにこの個体の良さに気づきました。

まさに僕にとって完璧な一本でした。そして、さらに言うと、このギター、50歳以上の年寄りなのに、とても美しい個体でした。飾り気のない、Martin D-18を思わせる凛とした佇まいは、「カッコいい」と思わせてくれる上、なんとペグがそのまま使えることにも驚きました。クラッシックギターのような、今ではほとんど見かけない3連のペグなのに、当時とても質のいい製品なんだったであろうと思います。

YamakiのギターをYahoo!オークションで見る
ボディはトップがスプルース、サイドとバックにマホガニーが採用されている。価格帯から言って合板だと思われる。

ジャパンヴィンテージは当たりも多い

そんなわけで、今回はAIのおすすめで衝動買いをしたギターが大当たりだったわけですが、僕の経験で言うと、この時代のギターは結構当たりが多い、と思っています。このギターは新品のMartin D-18の並みのギターより良いと思っていますし、2本あるMorrisも個性が違っていますが、とても良いギターです。

どのギターも入門~普及品の価格帯のものばかりですが、鳴りは一流なんです。最近では海外でジャパンヴィンテージが注目されていると言いますが、さもありなん、です。多くの、特にこれからギターを弾いてみたいという人たちに、古い日本のギターを使ってほしいな、と思います。

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