1979年製、フェルナンデスFST-60Jの思い出。〜弦が引っかかるギターがレコーディングに使われた話〜


フェルナンデス ストラトキャスター ジェフ・ベック・モデル

フェルナンデスのジェフ・ベックモデル!

1970年代の終わり頃、僕の手元にはフェルナンデスの「FST-60J」がありました。大学入学祝にじいさんに買ってもらった入学祝でした。

このギターは、いわゆる「石ロゴ」期と呼ばれる時代のモデルで、ジェフ・ベックモデルとして売られていたトグルスイッチが並んだストラトタイプです。

今振り返ってみると、当時のフェルナンデスは自社工場を持たず、あの「トーカイ(東海楽器)」が製造を請け負っていたと言われる黄金時代。 カタログスペック以上に、作り手の熱量が伝わってくるような贅沢なギターだったんだな、と手元にない今になって、しみじみ思います。

作りはとてもシッカリしていて、当時の本家フェンダーよりはるかに良かったと思います。あのころのフェンダーは低迷期でしたからね~

ちょっと困った「仕様」のクセ

ただ、このギターには実際に使ってみないとわからない「困ったクセ」がありました。

当時のジェフ・ベック本人仕様を忠実に再現していたのか、ピックアップカバーが付いていないオープンタイプだったのですが、これが曲者で……。 音を稼ごうとしてネック側のピックアップを少し上げると、演奏中にポールピース(ピックアップの金属部分)に弦がカチッと引っかかってしまうんです。

「あ、また引っかかった」なんて苦笑いしながら弾くような、仕方ないからプロントピックアップをギリギリまで下げて使うという、なんとも手のかかる、でも憎めないやつでした。

3つのスイッチが運んできた、意外なエピソード

3トグルスイッチの操作性は良いとは言えませんでしたが、出てくる音は結構ユニークでした。 特に、ピックアップを逆位相で鳴らす「フェイズアウト」のトーンは、他のギターでは出せない独特の響きを持っていました。

そんな僕のFST-60Jを、プロギタリストをしていた友人が「このギター、面白い音だからから次の現場で貸してよ」とスタジオに持っていったことがあります。

それが、当時フィリピンから来日して大活躍していた歌姫さんのレコーディングだったんです。

あの頃の「熱量」が詰まった音

僕が家で「弦が引っかかるなぁ」なんてボヤいていたギターが、プロの現場へ行き、洗練された都会的なフュージョン・サウンドの一部として鳴っている……。 その話を聞いたときは、なんだか可笑しくて、でも少しだけ誇らしい気持ちになったのを覚えています。

今の最新のギターはどれも優等生で、弦が引っかかるなんてトラブルはまずありません。 でも、あの3つのスイッチをカチカチと切り替えながら、自分だけの音を探していたあの頃の「遊び心」は、今の時代にも通じる楽器の楽しさの原点だった気がします。

皆さんの手元にも、そんな「手はかかるけど忘れられない一台」はありませんか?

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